実家がゴミ屋敷化…家族に起こりうる悪影響と具体的な対策を紹介

「久々に実家へ帰省したらゴミ屋敷のようになっていた」「最近実家が荒れてきてゴミ屋敷にならないか心配」と感じたら、早い段階で原因と対策を考える必要があります。
ここでは、実家がゴミ屋敷になってしまう原因や考えられる悪影響、親にゴミ屋敷を片付けてもらう方法などについて解説しています。

実家がゴミ屋敷になってしまう原因

実家がゴミ屋敷になってしまう主な原因には、以下のようなケースが考えられます。

親の体力・気力の衰え

年を重ねると、次第に体力や気力が衰えてきます。老化が原因の場合もありますが、子育てや仕事がひと段落し、忙しく過ごす時間が少なくなることで、基礎的な体力や精神力が弱ってしまうケースもあるでしょう。

外出の機会も減って家で過ごす時間が多くなると、片付けや整理整頓が億劫になり、出しっぱなしが便利で良いと感じるようになります。また、認知症の始まりなどで「いつどのように処分すればよいか」といった捨てどきの判断力が鈍ったり、持っていることを忘れてまた買ってしまったりすることも、物が増える原因となりやすいのです。

「もったいない」と考えてしまう世代

「物を粗末にしない」「大事にとっておく」といった価値観で育った世代の人々は、古くてもまだ使える物や、不用な新品を処分することに対して「もったいない」と感じやすく、捨てること自体に罪悪感を覚える人も多いでしょう。
もともとある物を捨てないうえに新たに買ったり、贈られたりするとさらに物が増え、家の中は混沌としていきます。

障害を抱えている可能性

昔から片付けが苦手だった人の場合は、発達障害など何らかの障害が潜んでいるケースも考えられます。物事の優先順位が決められない、計画的に何かを進めるのが難しい、集中力が続かないといった特徴を持つ人は、日常生活を送るために実はかなりの労力を必要とします。加齢や環境の変化とともにこうした無理が段々きかなくなり、部屋を片付けられなくなることもあるのです。

実家がゴミ屋敷に…家族に起こりうる悪影響とは？

実家がゴミ屋敷になってしまった場合、放っておくと以下のような問題が起こる可能性があります。

転倒などの原因につながる

家の内外にゴミが溢れたゴミ屋敷では、足の踏み場がなく転倒の可能性が高まります。消費者庁が平成30年9月に発表した統計によると、平成22～30年までの間に寄せられた高齢者の事故報告のうち、転倒・転落による事故がトップとなっていました。
高齢者の介護の引き金になる原因として「骨折・転倒」は認知症や脳疾患、衰弱に次いで4番目となっており、転倒で救急搬送される年代の割合は65歳以上から急激にアップしています。
高齢となった親世代が元気に過ごすためには、転倒のリスクが少ない環境づくりが大切であることがわかります。

災害時にすぐに逃げられない

家の通り道がゴミで塞がれていたり、出入り口に物が多かったりすると、災害時や緊急時に素早く逃げ出すことが難しくなります。地震や台風などの自然災害が起こったときにも被害が大きくなりやすく、積み上げた不用品が落ちてきてケガをするリスクも高まるでしょう。

病気や体調不良につながる可能性

掃除をしない家はハウスダストやカビの温床となりやすいほか、ダニ、ハエといった害虫が大量発生するなど、大変不衛生な環境となってしまいます。
病気や体調不良でゴミ屋敷となってしまっている場合には、こうした環境が健康被害に拍車をかけることにもなるのです。

ご近所トラブル

ゴミが家の中に収まりきらず、公道や共用スペースまではみ出している、害虫被害や悪臭が発生しているといった場合は、ご近所トラブルにもなりかねません。深刻な場合は自治体へ通報されたり、管理組合から退去を要求されたりするケースもあります。

実家のゴミ屋敷化を食い止める！親に家の中を片付けてもらうには？

実家のゴミ屋敷化を食い止め、親に「片付けよう」と思ってもらうためには、どのような方法があるのでしょうか。

親のプライドを尊重する

家に不要な物を溜め込んでいるのには、周囲にはわからなくともその人なりの理由があるものです。頭ごなしに怒鳴ったり、ケンカ腰で聞いたりせず、まずは置いている理由や、不用品に見えるものにまつわる思い出などを聞き出すところから始めるとよいでしょう。
「壊れている」「汚い」と勝手に判断せず、当事者のプライドを尊重して丁寧に聞き取りをすることが、ゴミ屋敷を片付ける第一歩となります。

「安全に暮らせるように片付けをしよう」と誘導する

理由も言わずにただ「片付けろ」と迫るよりも、「危険だから」「体に悪いから」など、安全に暮らすために片付けることをすすめてみましょう。
「自分のことを思って言ってくれている」と親が感じられれば、片付けに対して前向きになる確率は高くなるでしょう。

実作業はプロの手も借りる

素人だけでゴミ屋敷を片付けるのは大変なうえ、相当な日数がかかるケースもあります。片付けの専門業者に依頼すれば、ゴミ屋敷の片付けも一日のうちに終わり、重たい荷物を運ぶ作業や、粗大ゴミの回収も業者に任せることが可能です。

ゴミ屋敷は転倒や害虫の原因にも！可能な限り食い止めよう

実家がゴミ屋敷になる原因には、親の高齢化や疾病、傷害による判断力の低下などが考えられます。ゴミ屋敷を放置していると転倒の原因にもなり、害虫の大量発生による体調不良となりやすいほか、ご近所トラブルの原因ともなってしまいます。
親には丁寧に聞き取りをして優しく片付けを促し、必要であればプロの手を借りてゴミ屋敷化を食い止めることが大切です。